鐘つき聖堂の魔女



そして、指輪の中の紫炎が最後の灯を失った時、リーシャの金色の髪は艶やかな黒髪へ、そして琥珀色の瞳は黒曜石を思わせるかのような漆黒の瞳に変わった。



「おい…あれを見ろ、黒髪だ」

「魔女だ。何故こんなところに」

人々は口々に“黒髪だ”“魔女だ”と呟き、一瞬にして広場にどよめきが広がった。

観衆に囲まれていた状態のリーシャは姿を隠すすべもなく、立ち尽くす。





「リーシャ……?」

ジャンも目の前で起こったことに頭がついていかないのか、魔女の姿となったリーシャを前に呆然としていた。

混乱している様子のジャンにリーシャはせめて怖がらせないため何も言わず小さく微笑んだ。

騙していてごめんなさい、という意味を込めて。




「これで満足ですか?」

リーシャは平然を装い、ロネガンに向かって冷たくそういった。



「正体を現しやがった。やはりこれは大した代物だ。まぁ使い捨てってところがちょっともったいないがな」

ロネガンはそういって役目を終えて普通の石同然となった消魔石を地面に放った。

消魔石が使い捨てというのは語弊がある。

消魔石は大きさにより魔法への対抗力が異なり、かつ効果の持続も様々だ。

ロネガンが持つ消魔石が使い捨てとなったのは、つまめる程度の大きさだったからだ。

しかし、リーシャの変装魔法を消滅させるには十分な威力だった。