さながら演説者のように言葉を並べ、悦に入った様子のロネガンは観衆からの驚きの声に更に気を良くする。
「今からお前たちに消魔石の威力を見せてやろう。お前、こっちに来てみろ」
ロネガンは観衆の一人を呼び、消魔石をその者に近づける。
「ふむ、お前は違うな」
そういっては何が何やら分からずに観衆の輪に戻される者たちは自分たちがロネガンに何をされているのか分かっていない様子だ。
しかし、リーシャはロネガンが消魔石を何に使おうとしているか瞬時に悟った。
ロネガンは消魔石を使ってリーシャの正体を暴くつもりなのだ。
久しぶりに感じる嫌な動悸は、額に冷汗を浮かばせ、手足に小刻みな震えをもたらす。
そして、遂に消魔石がリーシャの前に来た。
「お前はどうだ、リーシャ」
「やめて…来ないで」
目の前に掲げられた消魔石から逃げるように咄嗟に後ずさるが、いつの間にか回り込んでいた男たちに肩と腕をがっちりと掴まれ、身動きができない。
後ずさった拍子に手放してしまったジャンが振り返り、訝しげな瞳で取り乱したリーシャを見る。
「正体を見せてやれ」
フッと口の端を持ち上げて笑ったロネガンは容赦なくリーシャへ消魔石をあてた。
瞬間、リーシャが身に着けていた左手薬指の指輪がバチっと音を立て、弾かれる。
アメジストのようだった指輪は内側で紫色の炎のように揺らめかせながら消えていき、あっという間に透明な指輪へ変わった。

