鐘つき聖堂の魔女



「お前、リーシャだな?」

「ち、違います」

「いいや、俺は覚えてるぜ。三年前までノクターンに住んでただろ」

リーシャは咄嗟に否定して顔をロネガンから遠ざけるように俯かせた。

その横でジャンは自分の名を否定するリーシャを不思議に思いつつ、口をはさめない状況に押し黙る。



「いつモリアに越してきたんだ?こんな“人間”が多いところをよく選んだな。まぁ人が多い方が身を隠すのにはうってつけってか?」

所々に挟む不穏な言葉を聞き、俯いたリーシャの横顔に焦りが浮かぶ。

ロネガンはそんなリーシャの反応を楽しむように続ける。




「俺は寂しかったんだぜ、お前がいなくなって」

甘ったるい言葉とともに頬をなぞる手にリーシャは嫌悪を覚えながら耐える。

顔を逸らしてただ耐えるリーシャを見て、ジャンは次第にこの状況がおかしいと思い始めた。



「久々の再会を祝おうぜ」

馴れ馴れしくリーシャの肩を抱くが、リーシャは頑なに拒絶を示し、顔を俯かせたままだ。



「おい、顔を見せろよ」

態度が気に入らなかったのか、ロネガンはなぞるように這わせていた指をリーシャの頬に食い込ませ、無理やり自分の方を向かせた。

苦痛に眉を寄せたリーシャを間近で見たジャンはロネガンを睨みつける。




「なんだ?ガキ。お前はもう行っていいぞ」

腕を振り切ろうと足掻くリーシャを押さえつけながら、ジャンを煙たがるように払う仕草をするロネガン。

尚もリーシャの頬を掴み、乱暴に扱うロネガンにジャンの怒りが爆発した。