強張っていた腕から、フッと力が抜ける。 そして、音も無く足元から崩れ落ちた。 「え・・・って、おい!」 俺よりも先に、鉄之助が玖於を抱きとめた。 なぁ、どうして・・・ どうして、こう世の中って理不尽なんだろうな、玖於。 そんな、愛されている自覚も無かった女なんてさ。 忘れちゃえばよかったのによ。 こんなに追い詰められなくてもさ。 そんな女、憎んで忘れてしまえばよかったんだよ。 そうしたら、辛くは無かっただろうに。