「なっ、何してんだよ!!」
じわりと肩を伝う、ぬるりとした感触。
暴れそうになる馬の手綱を、振り落とされないように握り締める。
「土方さん・・・こっちです!!」
土方さんの返事を待たずに、俺は再び馬を走らせた。
後ろから聞こえる、馬の蹄の音で土方さんの存在を確認する。
肩から全身にかけて、激痛が走る。
馬に乗っている為、その痛みは倍増しているように感じた。
「玖於っ、ちょっと止まってくれ!!
もう、五稜郭は抜けてんだ!」
後ろからの、土方さんの声にスピードを緩める。
頭がフラフラする、そんな気持ち悪い感覚が体を遅い・・・
俺は、歩き出した馬の手綱を手放した。



