------ ---- -- 「失礼します」 スッと、部屋の襖が開いた。 見上げると、目の周りを赤くした市村。 「一条さん・・・」 一瞬、驚いたような表情をしたが、すぐに微笑む。 そして、すたすたと俺の前を通り過ぎていった。 少しずつ、遠くなっていく背中は・・・ じょじょに、震えていった。 そして、パタン、という襖を閉じる音と共に。 市村の嗚咽が、薄暗くなってきた廊下に響いた。 その悲痛な声を聞いていられず、俺は土方さんの部屋に逃げ込んだ。