私が彼みたいな男の人が、男の中でも特
に苦手だって知っていて、私に構うんだ




プルプルと震えていると、よりいっそう
楽しげな声が聞こえてくる。



「こっち向かないんなら――触るぞ?」


「……っ!」



そう言われて、もうほとんど反射的に彼
の方へと顔を向けてしまった。



―――ああ、罠だって知ってたのに。



彼は怖くてたまらない私を見下ろすと、
口元を緩めて、その茶色い瞳で私を不敵
に笑う。



「もう涙目になってやがる。そんなに、
俺が怖いのかよ?」



椅子に座っている私に、視線を合わせる
ようにして屈んだソイツ。



それだけで、彼との距離がグッと縮まっ
て、思わず叫びそうになる。




フワッと香る、煙草のにおい。