それは、幼稚園の年中の事だった。



ある日、おままごとで使っていたオモチ
ャを片付けていたら、不意に。



『あ、イチゴ』



なーんて声が、下から聞こえてきて。



ビックリして下を見ると、しゃがみこん
だ矢渕くんが、ピラリ、と私のスカート
を捲って、中を覗きこんでいた。



『やっ、矢渕くん!?』



いくら幼稚園児だとはいえ、それが恥ず
かしいコト、っていうくらいの知識はあ
る。



それにもともと内向的だった私は、更に
恥ずかしくて仕方なかった。



『よーし!他の奴らにも教えてこよー』



ルンルンと効果音が付きそうな表情でそ
ういった矢渕くんの裾を、思わず掴んで
ひき止めた私。



『なに。離せよ、澪』



そう言った矢渕くんに、ふるふると首を
左右に振る。