歩いて五分としないとこにコンビニはある。
あたしは立ち読みでもしてようと思った。

家にいたくないあたしの暇の潰し方。


入ろうとした時にあたしは誰かに呼びとめられた。


「あっれー?」

振り向くとそこには昨日、ファミレスで会った姉キャンがいた。


……なつおの元カノ。


「昨日“なつき”といた子じゃない?」




…チクン

なつき。



「……」

「やだなあ、あたしもうなつきと終わってるんだから」


姉キャンはくすくすと、あたしを小馬鹿にしたように笑う。
そんな姿すら、綺麗だと思ってしまうあたしはどんなに惨めだろう。


「あ、でも。
あたしと体の相性よくて、よく寝たりはするけど」



………………


心臓がバクバク言って、喉が渇いてきた。



「…あたしには関係ないですから」


やっとのことであたしは姉キャンにそう言う。


「あれ?まだ彼女じゃなかったの?なんだつまんない」


姉キャンはあたしの全身を舐めまわすように見てから、見下した目をする。


「もし彼女になりたいんなら、私が譲ってあげてもいいけど?」

「なつおはモノじゃないですから」

「……そう?あんた、人間だとちゃんと思ってたの?」

「……………はい?」



冷たい視線。


………



意味がわからない。
なんであたし、いきなりこの人にこんなこと言われてんの?
あたしが今のなつおに似合わないなんてこと。
だって、なつおは本当にカッコよくなってたから。


それに何?
人間だと思ってたって。
あたし、ずっと人間だと思ってたけど…?