★ ★ ★ 幕が開いたが、舞台には店番をするお婆さんが一人だけ登場したまま時間が停止したように動きがない。 お婆さんはたまにしかやって来ないお客を待つことが仕事のようだ。 瑠諏は7年前のボストン・レッドソックスの帽子を買いにきた男が舞台に上がるように思考回路を研ぎ澄ませた。 30代くらいの男がフラ~と店に入ってきた。 髪がボサボサ、目がとろんと垂れ下がっている。 お婆さんの新鮮な血を舐めた影響なのかアルコールのニオイが客席にいる瑠諏の鼻をくすぐった。