あと数センチの距離で私は目を閉じた。 やっと、やっと… 葵がキスしてくれる… だけだ、そんな私の淡い想いは簡単に砕けた。 「〜〜♫〜♩〜」 その携帯の着信音は静かな住宅街に十分なくらい大きく鳴り響いた。 私の携帯ではない、葵の携帯。 葵の顔がだんだん私から離れて行くのがわかった。 ……キス、してないのに…。