こいつ…、


なんっか腹立つ!



ヒクつきながらも咳払いをして気を取り直す。


「…話があんだよ、柊に」


柊は驚いたようにぴくりと反応して俺を見た。

それを横目で見てから、月島はふぅん、と柊に手を伸ばした。


「俺も今お話してるんだけどな」


そう言って月島は固まっている柊の頬に指を滑らせた。



は?



その動作に、胸の奥に黒いものが湧き上がる。


「お前、柊に何したんだよ」


それを無理矢理抑え込んだせいで、自然と声が低くなった。


月島は俺をしばらく見つめて


「別に、何も?」


くす、と口角をあげた。


「しらばっくれやがって!!」


堪えきれずに勢いよく拳を振り上げた。

月島は逃げる様子もなく黙って俺を見ている。


しかし


「やめて!」


「っ!?」


柊がさっと月島の前に出てきて、振り上げた拳は宙をさまよった挙げ句に力なくおろされた。


「柊」


「月島くんは何もしてないよ!」


柊は両手をめいっぱい広げて、首をぶんぶんと横に振った。