「最低っ。どっちの味方なの!?
俊輔さんの彼女は私じゃないの!?」



ぱあんと気持ちの良い音がするくらいに、思いっきり俊輔さんの頬を平手打ちした。

明日も収録があるにも関わらずに。


そう、キャシーは大切なことはちゃんとわきまえた女だけど、私は感情の高まりに任せて行動してしまう浅はかな女。


自分勝手で最低な女はキャシーじゃなくて、私の方。そんなこと分かってる。


だから、私はキャシーには敵わない。
だから、キャシーにいつも勝てないの。


キャシーは私の欲しいもの全て持ってる。

整形しなくても綺麗な顔も、魅力的な体も。
その声でささやかれると逆らえないと、よく言われている甘い声も。

それなのに、エリックさんだけじゃなくて、今度は俊輔さんまで私から奪っていくの?


キャシーは全て持ってるじゃない。
他にいくらでも男はいるじゃない。 
  

どうして私には何一つゆずってくれないのよ......っ。



「ごめん......、分かってる。
俺の彼女はミヒだよ。

だけどごめん、俺......」

 

自分勝手で浅はかな私を、俊輔さんは少しも責めない。

自分にも負い目があるからかもしれないけど、私が殴ったり、怒ったりしても、責めない。