たとえ愛なんてなかったとしても

「今度好きなもの何でも頼んでいいから。

あの時はそんなつもりじゃなかったんだ。
財布忘れたから......じゃなくて、あー……下向いてないで俺を見て」



話を聞いてるのか聞いていないのかも分からないので、こっちを向かせる。

不機嫌そうに横目で俺を見るキャシー。
英俊とはまた違ったタイプの怒り方の演技だ。

演技というか、昨日も同じような表情を見た気がするが。



「もちろん好きなものは頼むけど。

財布忘れたのって、本当なの?
偽ブランドの?」


「なんで知って......っ!
あれは本物よりも、質が良いし、使いやすいんだ!
外見にとらわれずに、物事の本質を見ろ!」



さらに先を続けようとしたが、客席からの失笑でようやく我に返る。

これはTVショーだった、と。
むきになってどうする、演技なのに。