試合が始まると声援はもっと増して、とても話が出来るような状態じゃない。
だけど、集中できるわけもない。
話したいことがある、と言われて、その内容が気にならないわけがないんだから。
……それが希龍くんに関係することならなおさら、サッカーに集中できない。
「あっ、あれだよ難波くん!」
「ほんとだ!」
隣に座ってる女子高生は、難波くんを指差して騒いでる。難波くんを見てるのはその子達だけじゃなかった。
……希龍くんからしてみれば、あたしもこの子達と同じなのかな。
「難波くん、最近あまり部活に出れてないんだってー。」
「何で?」
「幼なじみが入院してるから、毎日お見舞いに行ってたみたいだよ。」
幼なじみが入院?
あの明るい難波くんから、そんなこと感じなかった。毎日お見舞いなんて、やっぱり難波くんらしい。
優しいところは全く変わってない。
「自殺未遂だって、怖いよねー。」
そんな言葉もあまり耳に入らないほど、あたしの頭の中は希龍くんのことで埋め尽くされていた。
……早く試合が終わってしまえばいい、なんて、最低なことを考えてしまっていた。



