tender dragon Ⅱ



試合が始まると声援はもっと増して、とても話が出来るような状態じゃない。

だけど、集中できるわけもない。

話したいことがある、と言われて、その内容が気にならないわけがないんだから。

……それが希龍くんに関係することならなおさら、サッカーに集中できない。


「あっ、あれだよ難波くん!」

「ほんとだ!」

隣に座ってる女子高生は、難波くんを指差して騒いでる。難波くんを見てるのはその子達だけじゃなかった。

……希龍くんからしてみれば、あたしもこの子達と同じなのかな。


「難波くん、最近あまり部活に出れてないんだってー。」

「何で?」

「幼なじみが入院してるから、毎日お見舞いに行ってたみたいだよ。」

幼なじみが入院?

あの明るい難波くんから、そんなこと感じなかった。毎日お見舞いなんて、やっぱり難波くんらしい。

優しいところは全く変わってない。


「自殺未遂だって、怖いよねー。」

そんな言葉もあまり耳に入らないほど、あたしの頭の中は希龍くんのことで埋め尽くされていた。

……早く試合が終わってしまえばいい、なんて、最低なことを考えてしまっていた。