自分では意識していないつもりでも、やっぱりどこか拒否してたみたいで、あれから入ろうと思ったことはなかった。
希龍くんが女の子といたカフェ。
忘れたつもりでいただけだったのかもしれない。気にしていないと言えば嘘になる。
ほんとは、希龍くんがいなくなってからずっと、あの子の顔が頭の中に浮かんで消えない。
…一緒にいるんじゃないかって。
「川原?」
「…え?」
「大丈夫?さっきから上の空だけど。」
どうしてこの席しか空いてないんだろう。
「…大丈夫だよ。ごめんね、何の話してるんだっけ?」
「…川原って、西高通ってんだよな?」
「うん、そうだけど、何で?」
難波くんはスポーツ推薦で、有名な進学校に通ってる。あたしとは縁のない高校。
だから今まで会うこともなかった。