「あれ、蒼空甘口?」

「甘口の気分なんだよ。」

葉太の問いかけに、蒼空くんは当たり前のようにそう返した。

やっぱり、いつもは甘口食べないんだなぁ…


「甘いもの嫌いなのに?」

「うるせー。早く食えよ。」

「蒼空は優しいもんなー。」

春斗が横からそう言うと、蒼空くんは一瞬固まって無言でカレーを食べ始めた。


―プルルルル…


空気が変わったのは、一本の電話のせい。

葉太の携帯が鳴った。

葉太は当たり前のように電話に出ると、電話の相手と話し始めた。


「あぁ…」

笑顔だった葉太の表情は一瞬で真剣なものに変わって、声もいつもより低くなった。

その様子を蒼空くんも春斗も真剣な表情で見つめていて、楽しかった空気は一瞬でガラリと変わってしまった。


「……分かった、すぐ行く…」


―ピッ…

「タケ?」

「あぁ、行ってくる。」

それだけ言って出て行ってしまった。


何も分からないあたしを残してー…