「学校、楽しいですか?」

「うん、楽しいよ。」

きっと無意識なんだろうけど、あたしが退屈しないようにずっと話しかけてくれる。


「春斗は、楽しい?」


初めて会ったときよりも、背が伸びた。

顔つきだって、大人っぽくなった。

みんな少しずつ大人になっていく。

それはあたしも同じはずなのに、いつも余裕がないのはあたしだけ。


「あー、まぁ、楽しいですけど。」

「何それ、微妙な反応だね。」

春斗のことだから友達もいっぱいいて、クラスだって楽しいはずなのに。


「俺一応幹部ですからね、やっぱりちょっと距離あるっていうか。仕方ないことなんですけどね。」

少し寂しそうにうつ向いた。


そういえば、タケくんが言ってたっけ。

タメで幹部なんて、みんなが尊敬しないわけないんだから。尊敬してるからこその距離感があるのは当たり前。


「寂しい?」

「…まぁ、少しだけ。」

「そっか。あのね、タケくんが言ってたよ。みんな春斗のこと尊敬してるって。」