「ほんとは弱いのに。」

「え?」

嬉しそうに語っていた蒼空くんの表情は一変。

再び悲しそうな顔に戻ってしまった。


「あいつ、俺に助けてって言わなかった。」

頼ってほしかったんだよね。好きな人を助けてあげたいと思うのは自然なこと。

「痛かったはずなのに…苦しかったはずなのに俺の前ではいつも笑顔しか見せねぇ。」

蒼空くんも、ちゃんとこんな風に余裕なくなったりするんだなぁ。


「でも、一度だけ俺の前で泣いたんだ。」

たった、一度だけ。


「俺があいつに好きだって言ったとき。」

蒼空くんのたった一言で、泣いてしまうほど純粋な心を持った女の子。

「"いついなくなるか分からないよ"って。」


泣いたのはてっきり嬉し涙だと思っていた。

だけど違ったみたいで、理解するのに時間がかかる。

"いついなくなるか分からないよ"

どういう意味?