「俺が初めて自分から好きになった、世界で一番大切なやつ。」

顔を歪めて、うつ向いた。

思い出させてしまったんだろうか。


「…どんな人だったの?」

辛そうなのは分かってるのに、なぜか聞きたくなった。蒼空くんがそこまで想っていた女の子は、どんな子なんだろう。


「あー、強いやつだったよ。」

強い女の子?

「運動神経抜群で、頭も良かったし。あ、結構美人だったし。」

そんな風に話す蒼空くんはどこか嬉しそうで、見てればすぐに分かった。

本気で好きだったんだと。


「昔から何でもできたからさ、人に頼るのが苦手で、学校では無意識に敵作ることがあったよ。だから余計に気強くなって。」

いつも大人びてる蒼空くんが、今ではちゃんと後輩に見える。

それが何だか嬉しかった。