「……あ…」

隣にいた芽衣がポツリと声を溢した。

「何?どうしたの?」

「あれ…」

芽衣が指差すのは人だかり。

誰が来てるのか分かったんだ。


「誰が来てるの?」

あたしの位置からは見えなかったけど、近づくにつれてその姿が見えてきた。

女の子たちの隙間から見えた。


「え……」


男にしては少し小さい身長。

ポケットに手を入れて、門の近くに寄りかかって立っていた。

見覚えのある髪色に、綺麗な顔。

女の子たちの視線を独占していた。

心臓が今までとは比べ物にならないくらい強く波打って、息を飲んだ。


「あ、やっぱり蒼空だ。」

芽衣がポツリと呟いた。

そこにいたのは蒼空くん。


「蒼空、くん…」

芽衣の口から名前が出て、少し心臓が落ち着いた。どうしてあんなに動揺してしまったのか、あたしには分かってる。