「由佳っ」

「秀太なんて嫌い!!帰ってよ!!」

そんな言葉を聞きたかったわけじゃないのに。

難波くんを傷つけるためにここに来たわけじゃないのに。


「…お前ほんとに幸せなの?」

悲しそうにポツリと呟いた。


狂わせてしまった。

仲のいい幼なじみだったはずなのに、2人の関係が崩れていく。


「っ…幸せだもん…」

小さな声で何度も「幸せだもん」と呟く彼女の表情は、今にも泣き出してしまいそうだった。


決意してここに来たのに、何て声をかけていいのか分からない。

以前会ったときと雰囲気が変わってたから。


―ガラッ…


突然開いた病室のドア。

同じ病室の患者さんが戻ってきたのかな、なんて思いながら振り返る。