「どうしようもねぇだろ。」

負けないとか言ってる場合じゃない。

下手したら、希龍くんはもう戻ってこないかもしれないんだから。


「土屋由佳の病室に乗り込むか。」

「そんなことしたって希龍くんは帰ってこないでしょ。」

どうせまた、あの作り笑いで「帰って」なんて言われるんだから。


「じゃあ難波秀太に会いに行けばいいじゃないですか。」

「え?」

「こっちから無理矢理会いに行けば、さすがに逃げないと思いますし。つーか、逃げるようなやつじゃないですよね。」


難波くんに会いに?

単純なことなのに、どうして一度も考えなかったんだろう。

確実に難波くんがいる、難波くんが通ってる学校に行けばいい。

優しいからきっと、あたしを追い返すようなことはしないだろう。


「俺送っていきますよ。」

「ごめん、ありがと!」

ほんとは会う予定だった明日、あたしから難波くんに会いに行こう。