「春斗、手離して」
「嫌ですよ。」
「何で…」
「離したら美波さん逃げるから。絶対、離しませんよ。」
いつのまにこんなに大人になったんだろう。
あたしの方が赤面してしまって、何でか春斗の顔を見れない。それなのに、春斗は気にせず前を歩く。
「行きますよ。」
ものすごく注目されてる。
さっきの女の子たちは春斗の名前を知ってた。それは春斗が有名だってことを表してる。
当たり前だよね。あの龍泉の幹部なんだもん。みんなが知ってて当然のこと。
「有名人だもんなぁ…」
「え?」
あたしがポツリと呟いた言葉に、春斗が振り返った。
「…春斗、有名人だよね」
「俺っすか。全然有名じゃないですよ」
「有名だよ。女の子たちみんな春斗のこと見てるからね」
「それは俺が西高の生徒だからです」
「どういう意味?」
西高の生徒だから?
まぁ確かに他校の生徒が来てたら注目されるのは当然だろうけど、何か意味が違う気が…



