tender dragon Ⅱ


「春斗、手離して」

「嫌ですよ。」

「何で…」

「離したら美波さん逃げるから。絶対、離しませんよ。」


いつのまにこんなに大人になったんだろう。

あたしの方が赤面してしまって、何でか春斗の顔を見れない。それなのに、春斗は気にせず前を歩く。


「行きますよ。」

ものすごく注目されてる。

さっきの女の子たちは春斗の名前を知ってた。それは春斗が有名だってことを表してる。

当たり前だよね。あの龍泉の幹部なんだもん。みんなが知ってて当然のこと。


「有名人だもんなぁ…」

「え?」

あたしがポツリと呟いた言葉に、春斗が振り返った。

「…春斗、有名人だよね」

「俺っすか。全然有名じゃないですよ」

「有名だよ。女の子たちみんな春斗のこと見てるからね」

「それは俺が西高の生徒だからです」

「どういう意味?」


西高の生徒だから?

まぁ確かに他校の生徒が来てたら注目されるのは当然だろうけど、何か意味が違う気が…