「カノジョは、高校の時の同級生で、えっと……星野光希、さん」
自分で嫌気がさすくらい、歯切れの悪い言い様だった。
気まずくって、隣に立つ星野を見ることも、ましてや目の前のサクラさんと目を合わせることも憚れた。
何もやましく思うことなんてないはずなのに、ひどく居心地が悪かった。
説明した通り星野は高校時代の友達で、それは例えばサトシと同じ間柄で。だから、隠すことも後ろめたいこともあるわけないのに。
でも僕の心は落ち着かない。
“後悔”―― そんな気持ちまで沸いている。
何に対して?
どんな心境から?
単に星野が女の子だから―――?
……いや、違う。
大きな理由は星野からの告白。好きだって言われたこと。
しかもかつては、僕の気持ちも向いていたことがあったから。
それとサクラさんとのことを言われたことも関係してて。指摘された言葉に、近頃の僕たちのことを重ねたんだ。
仕事のことや嫉妬したこと、年の差のこと……。
そして、さっきまで抱いていた感情のせいで、こんなにもやましく後ろめたくなってる。
二人で一緒に過ごす時間を楽しいって、その空気を楽だって思ったせいで。



