塔矢は時々月海を子供扱いする。
それがいつもシャクに障った。
先輩たちが言うには、昔、優秀なくせに塔矢に手を焼かせた部下がいたらしい。
その部下に月海がよく似ているので、塔矢が世話を焼きたがるのだろうと言う。
優秀なところが似ているのならいいが、手を焼かせるところが似ていてもあまり嬉しくはない。
「城暮らしはどうだ? もう慣れたか?」
「……別に、どうと言うことは……」
気のない返事をする月海の顔を塔矢は覗き込んだ。
「どうした? 何か気になることでもあるのか?」
月海は塔矢を見つめて少しの間考えた。
和成は昔、塔矢の部下だったらしい。
夜の行動はともかく、昼間の行動については塔矢ならその理由を知っているかもしれない。