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一瞬、その姿を垣間見ただけだった。
ひやりと心臓に氷を押し当てられたような感触。
自分の端末で職員名簿を洗った。
背もたれに倒れこむように寄り掛かかり、しばらく画面を見て惚けていた。
暁子。
成介にそそのかされたが、携帯に残っているらしい写真は見なかった。
でも、離婚届にサインする万年筆を借りたくて書斎の引き出しを漁ったら、入っていた。
レストランがサービスで撮ったらしいポラロイドの写真。
ケーキを前に二人が肩を寄せ合っていた。
今でも目の前に鮮やかに蘇る。
モニターを見つめたまま机の上を手で探り、煙草の箱を捜し当てると、一本銜えた。
涼が結婚しようとした相手。
望んで、申し込んだ相手。
自分とは対照的すぎるのに、思わず笑って煙にむせかえった。

