Storm -ただ "あなた" のもとへ-


あの仕事からやっと帰ってきて、こうして同じように眺めているとほっとした。

全身の筋肉がゆるむような。

やっと神経が落ち着いてくる。


「明日、ウルゴイティのペントハウスに戻らない?」


だから言いたかったことがすんなりと言えた。

ジャガイモの皮をむいていた涼が手を止めた。


「おまえがあまりあそこを好きじゃないのは、わかっているのだけど」


涼はしばらく綺樹を見つめていた。


「わかった」


綺樹はあそこが気に入っている。


「ありがとう。
 やっぱり先に浴びてくる」


出て行きそうになって足を止めて、半身振り返った。


「一緒に入る?」


いたずらっぽく笑っている。

涼は苦笑いをした。


「今度にしておく。
 誘惑するな。
 今一緒に入ると、間違いなく夕食は喰いっぱぐれ、そのまま日曜日だ」

「そう」


綺樹は静かに笑って出て行った。