涼はするりと自分の腕の中に引き込んだ。
「おかえり」
綺樹からは夜の香りがした。
布地のひんやりとした冷たさが、涼の腕の温かさでなじんでくる。
綺樹は素直に身を預けていた。
それで余計に抱きたくなる。
綺樹の健康状態を考えると今は駄目だ。
ちゃんと食べさせて少し寝させないと。
「さ、夕飯だ」
涼は身を離した。
見抜いたのか見抜いていないのか、綺樹は少し笑った。
「見ていていい?」
ダイニングテーブルにつく。
「まだ出来上がるまで間があるぞ。
風呂でも入ってこいよ」
「うん」
肘をテーブルにつき頭を支える。
「おまえが作るのを見ていたい」
昔もよくそうしていた。

