Storm -ただ "あなた" のもとへ-


   *

これでいいのだろうか。

綺樹は長く息を吐いてしまってから、背後で寝ている涼の様子を伺った。

涼は眠りが深い方だから大丈夫そうだ。

寝返りを打って涼の方を向く。

結婚する方がいいのだろうか。

涼が望んでいるから、叶えてもいい。

でもそれで涼は幸せなのか?

こんなに間近で、再び寝顔を見られることになり、胸が揺さぶられて泣きたくなる。

本当に本当に大事なんだよ。

綺樹はそっと頬に指を触れ、あごの線をなぞった。

だからこの世界でなく、自由に生きることを選んだことも、良かったと思っていた。

それが別れを意味する事だとしても。

綺樹は息を詰めてまた寝返りを打った。

駄目だ。

考えがまとまらないし、踏み切れない。

私が後何年の命だろうと、ほっとけばいいだろう。

自分らしく生きてくれよ。

言いたかったが、反対の立場になったことを想像すると言えない。