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これでいいのだろうか。
綺樹は長く息を吐いてしまってから、背後で寝ている涼の様子を伺った。
涼は眠りが深い方だから大丈夫そうだ。
寝返りを打って涼の方を向く。
結婚する方がいいのだろうか。
涼が望んでいるから、叶えてもいい。
でもそれで涼は幸せなのか?
こんなに間近で、再び寝顔を見られることになり、胸が揺さぶられて泣きたくなる。
本当に本当に大事なんだよ。
綺樹はそっと頬に指を触れ、あごの線をなぞった。
だからこの世界でなく、自由に生きることを選んだことも、良かったと思っていた。
それが別れを意味する事だとしても。
綺樹は息を詰めてまた寝返りを打った。
駄目だ。
考えがまとまらないし、踏み切れない。
私が後何年の命だろうと、ほっとけばいいだろう。
自分らしく生きてくれよ。
言いたかったが、反対の立場になったことを想像すると言えない。

