「あの時も言っただろ」
「あんな愛人がぐちゃぐちゃで、よく言えたよな」
「変な日本語だ」
綺樹はスプーンでオムライスをすくった。
「とにかく、おまえはこの世界が合わなかったんだろ?
また、わざわざなんで戻ってきたんだ?」
涼は手を止めて振り返った。
「じゃあ、おまえがこの世界を出れるか?」
ひたりと視線が重なる。
涼は再びガスレンジに向いた。
「無理だろ。
あえて嫌な言い方をすれば、仕事と男のどっちをとるか、という時におまえは仕事をとる。
それで諦め切れるか。
俺はおまえを諦められない。
だったら俺が戻るしかないだろう」
どこまで本当のことだ。
綺樹はオムライスをスプーンで崩す。
「そんなんで戻ったのか?」
涼は皿を持つ手を止めた。
綺樹をじっと見つめる。
「そんなんか」
涼は息を吐くように笑った。
「おまえにとっては、そういう感じなんだな」

