「綺樹」
少々邪険に呼んだが、起きる様子は無かった。
涼はソファーの足元に腰を下ろした。
気持ち良さそうだ。
しばらくその寝顔を見つめていた。
相変わらず疲労の色が濃い。
指で肌をなぜながら、目にかかっている前髪をのけた。
長生きしてくれよ。
涼はローテーブルにひじを置いて頬杖をつき、綺樹の寝顔を見つめる。
見てはいるけれど、こうやって改めて眺めるのは久しぶりだった。
正直驚いた。
出会った時の16歳のイメージが強かったが、いまや女性の顔だった。
目元といい、口元といい。
柔らかく、色香があった。
いつもほとんど化粧をしないけど、普通の女性のように装ったら、どうなるのだろう。
パーティーで会った時を思い出そうとした。

