Storm -ただ "あなた" のもとへ-


テレビにしよう。

何ヶ月ぶりに、ただ娯楽のためにテレビをつけた。

ソファーに横になり、りんごをかじる。

なるほど、ボルシチってこうやって作るのか。

つらつらと料理番組を見ていると、急激に眠くなった。

やっぱり私には料理は向いていなんだなあ。

そんなことを考えながら睡魔の波に乗った。

涼はドアを開けて至る所で電気がつけっぱなしなのに、綺樹が帰ってきていることを知った。

キッチンに食料の紙袋を置いて、テレビの音がしているリビングを覗いた。

ゴルフ番組がやっている。

そんな趣味、あったか?


「綺樹」


ドアから見えている、茶色い頭に呼びかけたが、返答も微動もしない。

近づくと甘い匂いがした。

ぐっすりと寝ている。

ローテーブルには、かじりかけのりんごが置いてあった。

この匂いか。

全く白雪姫じゃあるまいに。