家に着いてみると、涼はまだ帰っていなかった。
「うーむ」
思わず声が出てします。
涼がいないと、ここに居ていいのか不安になる。
シャワーを浴び、モコモコした柔らかいパーカーとパンツに着替えた。
なるべく周辺を見ないようにする。
涼はずぼらというのか気にしないというのか、平気で女と関わるものを使っ
ていたり、処分を忘れていたりする。
そういうのに気が付きたくなかった。
冷蔵庫から取り出した、りんごと水のペットボトルを手にしたまま、リビングで固まっていた。
何しよう。
仕事はもって帰ってこなかった。
読む本を探すにも涼の領分なので嫌だった。
下手すると本に写真だか、手紙だかが挟まっていそうだ。
西園寺の書斎にある机の引き出しに、暁子の写真が入ったままだったように。
結婚生活を送っていた妻がいるっていうのにだ。
また、怒りなのか、悲しみなのか、複雑な感情に落ち込みそうになり、あわてて頭から追い払った。

