「フェリックスさんがそこまで集めた婚姻同意書を無駄にするのか?」
綺樹は考え込んだ。
「そうだな」
ぴくりと涼のこめかみが動いた。
「ごちそうさま」
食器を流しへともっていく。
勢い良く水を出した。
危ない。
本当に綺樹には全く自覚が無いが、かなり巣食っている。
綺樹は涼が不機嫌に立ち上がり、食器を下げていくのを見守っていた。
「涼」
綺樹の軽快な呼びかけに振り返った。
にこやかに笑っている。
「新婚旅行はどこにする?」
涼は肩の力を抜いて笑った。
「おまえの好きなところでいいよ」
「そうか」
綺樹が嬉しそうに考え込む表情になった。
まったくこいつには結局かなわない。
涼はため息をついた。

