綺樹は上体を起こした。
「携帯はどこだっけ?」
月曜日からの準備を整えなくては。
着替えようとベットから降りる。
「綺樹」
涼のぴりっとした呼び方に気が付いた。
「もう少し休まなくては無理だ」
「大丈夫」
軽く流されたのに、涼は思わずかっとして腕を掴んだ。
綺樹は涼が怒っているのにやっと気が付いた。
「涼?」
涼は手を離してきびすを返した。
「退院の手続きをしてくる」
怒りを納めるように、廊下を足音高く早足で通り抜ける。
病室にいれば、おろかにも綺樹の時間を独占できるのに喜んでいた。
仕事、仕事。
「くそっ」
女々しい自分に腹が立った。

