暗い廊下の先で、振り返ったさやかの白い顔が見えた。
足の力が抜けて膝を付いた。
綺樹は呼吸を整えると立ち上がった。
「取引だ。
取引をしよう」
綺樹は凛として立ち、さやかを見据えた。
冷たく張り詰めた表情と、瞳に宿った強い光をさやかは見つめた。
「滞っているインドの携帯事業をよこせ。
成功させてやる」
さやかと綺樹はしばらく睨みあう様に見詰め合っていた。
さやかがふわりと笑った。
「いいわ」
それだけ言うと、警察に目配せをして再び歩き出す。
自由になった涼はしばらくさやかの後姿を見送ってから、綺樹のほうに歩き出した。
一体、何だ。
涼は眉をしかめた。

