「だけど涼じゃない。
それに暴行でもなんでもない」
「それは。
涼が警察署で説明をすればいいことだわ」
綺樹は恐怖で目を見開いた。
「なっ。
誤解だから、出て行ってくれ」
綺樹は警察に向かってきっぱりと言った。
「綺樹。
人質が長く犯人と一緒にいると、どういう心理になるか知っているわよね」
さやかの冷たい声を聞いて、綺樹は目を見開いたままのどを手で押さえた。
やっと綺樹は、さやかが涼を社会的に葬ろうとしているのに気が付いた。
「大丈夫だ。
すぐ戻るから」
涼が安心させるように綺樹の肩に手を置いた。
さやかと一緒に、警察が涼の腕をとり部屋から連れ出していく。
今、行かせたら二度と戻らない。
廃人か、囚人か。
「やめろ、やめ」
ドアが閉まった。

