Storm -ただ "あなた" のもとへ-


いつもの繰り返しに、絶叫しそうな悲しみよりも、今回は疲労の方がひどかった。


「もう少し眠るといいわ」


綺樹は微かにうなずいた。

さやかの言うとおり、このまま眠ってしまってしまおう。

涼とのことが夢になる。

夢にならなければ、自分の存在に明確に片をつければいいんだ。

綺樹は解決方法が既に付いていることに安堵していた。

再び寝息が立ち始めたとき、廊下で走る足音がした。

引き戸が勢い良く開く。

さやかは誰だか十分わかっていた。


「遅かったわね」

「出張で」


涼はベットに歩み寄った。


「綺樹は?」

「過労よ。
 今は寝ているだけ」


涼は綺樹の前髪をそっとすくった。

唐突に綺樹が目を開けて見開いた。


「涼」


小さく叫ぶ。