Storm -ただ "あなた" のもとへ-


   *

さやかは出勤するといつもどおり綺樹の部屋の前を通り過ぎて、立ち止まった。

きびすをかえす。


「おはよう」


綺樹は顔を上げた。

今度は何だと言いたげだ。


「おはよう」

「凄い顔色ね」

「そうか?」

「少しそこで横になりなさい」


綺樹はしばし考え込んだ。


「うん、じゃあ少しだけ」


大人しく従うのはよっぽど気分が悪いのだろう。

綺樹が立ち上がってデスクを回ってくる。

足がふらついた。

ぐっと胸に差し込むような痛みに、綺樹は顔をしかめて胸を押さえた。

とたんに目が回る。

どちらが床かわからなくなり、体に鈍痛がした。