「あいつから寝たいと言われたのは始めてだった」 どさりと椅子の背によりかかった。 「今まで何度も助けられていたから。 助けたかった。 それが寝た理由だ」 これで涼も納得できて進めるだろう。 綺樹は立ち上がった。 くすりと笑って斜めに見上げた。 「じゃあな、元気で」 涼は手を拭いていたタオルを置いた。 「何が“じゃあな、元気で”だよ。 格好つけんな」 ため息をついた。 綺樹は振り返った。 涼はシンクによりかかり、ちらりと綺樹を見て苦笑した。