上体を起こした。
それが出て行こうとしている事だと気が付いた涼は、そっと抱きしめた。
耳にくちづけする。
涼が何をしようとしているかわかると、綺樹は力を抜いた。
それで涼のプライドが持ち直すなら。
綺樹はくちびるを受け止めた。
目を開けて涼の瞳を覗き込み、いたずらっぽく弱弱しく微笑した。
「優しくしてくれ」
フェリックスには絶対に言えない言葉だった。
涼は静かな微笑を浮かべて、労わるようにくちびるをあわせた。
かなり状態はひどかった。
涼の愛撫にまったく応えられないようだった。
でも涼はやめなかった。
フェリックスから全て取り返したかった。
これは多分、挑戦状だ。

