「綺樹?」
綺樹は後ずさった。
「なんでもない」
瞳が少し見開かれている。
嫌な感じがした。
涼の動きは素早かった。
シャツの襟元に手をかけて、思いきり引く。
ボタンが飛び散ると同時に、その力に綺樹も床に転がった。
体を丸めてうめき声を上げている。
「なんだよ、これは」
涼は無数に広がるあざや擦り傷を見下ろした。
所々は赤くはれ上がっている。
膝を折って、そっと指で触れた。
綺樹は痛がって腕を払おうとした。
「どうしたんだよ」
怒りはどこかに吹っ飛んでしまった。
これは寝てきたんじゃなくて、暴行を受けてきただ。

