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綺樹と関係が深い時は必ず酒量が増える。
涼はウィスキーのグラスに氷を入れた。
玄関のドアが静かに閉まる音がした。
グラスを一気に空けてリビングから出た。
綺樹が玄関のドアに寄りかかったままだった。
物音に、ゆっくりと視線を上げた。
思わず涼は足を止めた。
ひどい変わりようだった。
やつれて、捨て猫のよう。
だけど、やっぱりだ。
怒りが体の中で立ち上った。
玄関ロビーの反対側で涼は壁に寄りかかり、腕を組んだ。
「男と住んでいるっていうのに、他の男と寝てくるとは、どういう神経構造だ」
その嘲笑的で皮肉っぽい口調に綺樹は口元で苦笑した。

