Storm -ただ "あなた" のもとへ-


「行くぞ」


フェリックスの車がどんどんと郊外へと向かっていく。

綺樹には見慣れない景色だった。

やがて着いたのは一軒の別荘だった。


「ウルゴイティのか?」

「そうだ。
 携帯を置いてけ。
 邪魔されたくない」


綺樹は取り出して着信履歴を見ようか迷ったが、そのままダッシュボードに置いた。


「不動産が多すぎるんだよな。
 整理しないと」


綺樹は建物を見上げて呟く。

フェリックスがドアの錠をあけて振り返った。

視線が交わる。

今なら戻れる。

でも綺樹は嘲笑を浮かべた。