Storm -ただ "あなた" のもとへ-


「さやかから預かった」


ポケットから紙を出すと、ゆっくりと近づいた。

うつむいたまま腕を伸ばして差し出す。

フェリックスは無言で受け取った。


「なぜ、おまえが同意集めをするの?」


広げた書面からフェリックスは視線を綺樹へと上げた。

綺樹は初めてフェリックスが隠し切れないほど、疲れた様子をしているのに気が付いた。

フェリックスは何も言わず、さやかの同意書をバインダーに投げ入れる。

他にも何枚か入っているのを、綺樹は見逃さなかった。

そんな紙のために。

綺樹はフェリックスの目の前を横切るように腕を伸ばし、バインダーを取ろうと
した。

綺樹の使っているボディクリームが香る。

フェリックスは一瞬息を止めた後、獲物を捕らえるように綺樹の体を引き寄せた。

骨がきしみそうな強さに綺樹はうめく。