Storm -ただ "あなた" のもとへ-


信じられない思いがありながら、さやかの情報に間違いが無いのもわかってい
た。

ジェットの中で結局眠れず、朝から既に強いスペインの日差しに頭が痛くなる。

でも。

綺樹は自分の書斎に入りながら思う。

それは自分には決して知られたくあるまい。

あの男は。


「戻った」


綺樹の声にフェリックスは書斎同士を繋いでいる、ドアのところを見た。

一瞬視線が交わった。

綺樹は横を向いて、少しうつむいた。


「お望みどおり・・。
 涼と縒りを戻したよ」


フェリックスは意思が強く宿っている横顔を見つめる。

髪の毛が少し顔に落ちて陰影が出来た。

綺樹は無意識に掻き揚げた。

指の先まで瑞々しくなり、ほのかに色気が香りたっていた。

これが涼のなせる業ということか。