「なんだって?」 さやかは一枚の紙を差し出した。 綺樹は立ち上がると奪うように取った。 「なんだって」 文面の字を追う。 「なんだって、フェリックスが私と涼の婚姻の同意を集めるんだ?」 さやかは手を差し出した。 紙を返す。 「今回はサインしてあげるわ。 反対だけど」 そう言ってさやかは万年筆のふたをとると、優雅にサインした。 「持って行きなさい。 これから、スペインでしょう」 ふたを閉める。 「本当に体まで使って、同意書を集める価値が、あなたたちの結婚にあるのかしらね」