Storm -ただ "あなた" のもとへ-


   *

そろそろスペインに行こうとしているときに、さやかから呼び出しがかかった。

部屋に入ると無言でソファーに座る。

さやかはその様子をデスクから見ていた。


「私が今回は賛成していないって聞いているわよね」


綺樹はため息をついて、足を伸ばし、あごを襟元にうずめた。


「そうだってね」

「でも縒りを戻したんでしょ」

「一体、何の縒りだろうね」


綺樹は息を吐きながら自嘲した。


「フェリックスも何を考えているのかしらね。
 なぜ、あなたとかなり親密になったというのに、涼をわざわざ呼び戻したのかしら」


綺樹はちらりとさやかを上目遣いで見た。

やはりこの上司は何もかもお見通しだ。


「さあ、ね。
 でも健康管理人にしたいらしいよ」

「一族から婚姻の同意をとるのに苦労しているわよ」


上目遣いでさやかを見たまま止まる。