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スペインの話から、微妙な距離が二人の間に出来ていた。
綺樹がなんとなく引いているのだ。
強引に引き戻すべきか迷い、そのままにしていた。
涼は朝食のコーヒーを置いた。
「今夜出発なんだ」
冷蔵庫から牛乳パックを出そうとしていた手を止めた。
綺樹はトーストに目線を落とし、かじっていた。
「夜までダバリードの仕事をしたら、そのままジェットで移動して、着いたら朝だから」
頑なにトーストから視線を上げない。
「そうか」
綺樹の向かいの席に着く。
「ちゃんと食えよ」
「うん」
違う、そういうことをいいたいんじゃない。
涼は綺樹をみつめた。
「綺樹」

