Storm -ただ "あなた" のもとへ-


  *

スペインの話から、微妙な距離が二人の間に出来ていた。

綺樹がなんとなく引いているのだ。

強引に引き戻すべきか迷い、そのままにしていた。

涼は朝食のコーヒーを置いた。


「今夜出発なんだ」


冷蔵庫から牛乳パックを出そうとしていた手を止めた。

綺樹はトーストに目線を落とし、かじっていた。


「夜までダバリードの仕事をしたら、そのままジェットで移動して、着いたら朝だから」


頑なにトーストから視線を上げない。


「そうか」


綺樹の向かいの席に着く。


「ちゃんと食えよ」

「うん」


違う、そういうことをいいたいんじゃない。

涼は綺樹をみつめた。


「綺樹」